死から

先日、母親が亡くなったのですが、

死を間近にした切れぎれの呼吸の合間に

なかなかの名言を語ってくれました。

 

そうじゃなあ・・・

・・・・・・・・・

人生は百科事典みたいなもんじゃから

・・・・・・・・・・

そうじゃなあ・・・

そう・・・パッとな

そう・・最後は閉じてな

「死にました」・・・

 

うん・・・

 

それでええんや・・・それでな

 

「人生は百科事典」

なかなかの一言

 

最後まで気丈な人らしい言葉でした。

 大好きだった食べ物も口にしなくなってからは

毒舌ばあちゃんの異名をもったごつい表情も

まるで悟りを開いた尼僧のように穏やかになり

 

やがてふいごのような呼吸が途絶えて

ゆっくりと目を閉じました。

 

身体呼吸のリズムは

亡くなった直後もゆったりと脈打ち

身体の〈いのち〉の舞台の幕が

これからゆっくりと閉じられていくことを

しっかりと感じとることが出来ました。

 

亡くなってから一時間ほど病室に残っていたのですが

死と共にあるその空間の何とも安らかなことに

深い感動を覚えました。

 

死が生と離れていないことが

ほんとうの「存在の居場所」なのですね。

そのことを心から実感させてもらった時でした。

 

最後に母親に学ばせて頂いたのですね。

 

〈いのち〉を深める道を

 

これからもゆっくり

そして静かに

 

イベントではなく

ドラマを

 

見えないところを

 

そして沈黙を

 

その礎に歩いていければと思っているところです。